2011年10月21日金曜日

真空管コンサルティングと特許の関係(その2)




真空管コンサルティングと特許の関係(その2)

こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド® 代表の佐々木です。

特許の場合、1発明につき最低1人の発明者がいます。私が扱った発明のほぼ100%は、職務発明です。職務発明は、企業等の従業員がした発明のことで、個人発明と区別されます。有名な青色発光ダイオードは、職務発明です。

より正確には、特許法第35条第1項に職務発明が定義されております。

同項では、「使用者、法人、国又は地方公共団体(以下、「使用者等」という。」は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下、「従業者等」という。」)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下、「職務発明」という。)について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許権について通常実施権を有する。」と規定されております。

企業においては、研究開発者、技術者はもとより、営業、一般事務の方も発明をしますが、発明は、実体が無いものですので、客観的に第三者がわかる形にする必要があります。

具体的には、発明者は、ワードやエクセル等を使って、文章と図面を使って発明の説明資料を作成します。ちなみに、発明は、特許法第2条第1項に定義されております。

同項には、「この法律(注:特許法)で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義されております。

自然法則(例えば、ニュートンの運動の法則)を利用していることが要件ですから、人為的な取り決めや、経済学上の発見等は、発明になりません。自然法則を利用しない例としては、数学の公式、課税方式等です。

また、技術的思想の創作のうち高度であることも要件ですが、「高度」は、実用新案と区別するためのものです。特許では発明といい、実用新案では考案といいます。

ちなみに、考案は、実用新案法第2条第1項に定義されており、上述した発明の定義において、「発明」が「考案」と読み替えられているとともに、「高度」が削除されております。

同項には、「この法律(注:実用新案法)で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。」と定義されております。

ここで問題です。

発明と実用新案における「技術的思想の創作」の範囲は、どちらのほうが広いでしょうか。

答えは、実用新案のほうが範囲が広いのです。

発明では、「高度」という限定があるのに対して、考案には、このような限定がありませんので、高度はもちろん、低度も含まれているからです。

なお、現在の実用新案権は、無審査で登録される粗製濫造タイプの権利であるため、審査を経て登録される特許権に比べて、問題点が多く、特許事務所等のようなプロフェッショナルの世界では、実用新案で出願することは特別な事情が無い限りまずあり得ません。

特許事務所では、実用新案に該当するような考案であっても、発明として特許出願します。

話を戻して、発明者は、発明の説明資料を作成したら、それを特許部または直接特許事務所へ渡します。この発明の説明資料こそが、発明を理解する入り口です。

実は、この発明の資料というものは、非常にクセモノなのです。

つづく

2010.3.3                         

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