2011年10月21日金曜日

真空管コンサルティングと特許の関係(最終回)




真空管コンサルティングと特許の関係(最終回)

こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド® 代表の佐々木です。

発明の資料を書けといわれても、そう簡単に書けるものではありません。第三者にもわかるような資料を作成するには、相当の文章力が必要とされます。一般的に、理系は、文章を書くのが苦手という傾向がありますが、私がかかわった発明者の9割は、理系のエンジニアですので、例外ではありません。

もちろん、発明者の中には、卓越した文章力をもって発明の資料を作成できる方もいらっしゃいましたが、ほとんどの発明者は、頭の中にある発明の半分も表現できていなかったと思います。

ここで、技術論文等の高尚な文章を書きなれている発明者(工学博士や大学教授等)であれば、さぞかし、発明の資料を作成するのもうまいだろうと思いがちですが、逆に、難解な専門用語が多すぎ、行間を読みきれないため、意味不明であることが多かったように記憶しています。

そして、私の仕事の流れとしては、発明の資料に基づいて、発明者と面談をして、発明の内容を完全に理解した後、特許明細書(発明の内容と権利範囲が記載されている書面)を作成して、特許庁へ出願します。

発明の面談では、発明者と技術的に対等にディスカッションできなければなりませんので、その準備が重要となってきます。前述したように、自分の専門外の発明がほとんどですので、事前に発明の資料に基づいて、その技術を徹底的に調べ上げ、理解して、問題点を整理してから、面談に望みます。

面談の際には、その技術を教えてもらうというスタンスでは、相手になめられてしまいます。その瞬間でいいから、専門家になりきることがポイントです。もちろん、ハッタリという意味ではなく、事前準備を万全にして、技術背景を含めて徹底的に理解するという意味です。

実際の面談では、一癖も二癖もある発明者もおり、限られた時間内で、いかに情報を引き出すかが、カギとなります。そのためには、コミュニケーション力が必要となります。発明者から情報を引き出せなければ、特許明細書を書くことはできませんので、こちらも必死となります。面談は、1件の発明につき1時間~2時間くらいですが、この時間内では、発明の資料に書かれていない行間を引き出して技術的思想を理解した後、それをさらに発展させて、別の発明もいくつか提案する応用力が要求されます。

特許業界で売れっ子となるためには、発明者の発明をそのまま特許明細書に書いているようではだめで、発明者が思いもよらなかった発明を提案できて、発明を何倍にも膨らませることができる、という力が必要です。面談中は、あらゆる角度から、「こうしたらどうですか」、「これを付け加えてたらどうですか」という具合に、発明者に知的な刺激を与えつづけて、発明を発展させてゆきますので、面談が終了すると、最初の発明の資料に対して、何倍もの発明が出来上がります。まさに、発明者と特許担当者とのシナジー効果です。

特許時代にこのような面談を2000件近くやってきた経験が、今の真空管コンサルティングに非常に役立っています。発明か真空管サウンドという違いはあれど、相手から情報を引き出し、それに解釈を付け、ゴールを目指してアドバイスするという点では、今も昔もやっていることは変わりません。そういう意味では、特許屋も真空管屋も似たような業種であるのかもしれません。

特許業界を離れてからは、第三者がした発明の特許明細書を書く機会はなく、もっぱら、自分がした発明(真空管のエージングやバイアスフリー倶楽部)の特許明細書を書くことばかりです。

自分の発明の場合には、アイディアが溢れるように出てくるので、一旦書き始めると、なかなか終わらないのが難点ですが、通常20~50万ほどかかる特許出願費用を無料にできますので、経営的に助かり、まさに、「芸は身を助ける」とはこのことです。

真空管コンサルティングとして飯が食えなくなったら、特許コンサルティングに転身します。

というのは冗談ですが、特許に興味がある方がいらっしゃいましたら、真空管話のついでに特許のことをお聞きいただければ、コンサルティングします。

もちろん、無料で。

2010.3.9                        

Good music !

© 2010 VINTAGE SOUND

まずはお電話ください。 メールで真空管の質問をする

パワー管交換の前に見て下さい。