2011年10月21日金曜日

超かんたん バイアス調整入門(最終回)




バイアス調整のまとめ

最後に、バイアス調整のポイントについてまとめてみます。

バイアス方式 適用管 バイアス調整
自己バイアス方式

(セルフバイアス方式、オートバイアス方式、カソードバイアス方式ともいう)
プリ管

パワー管
不要
固定バイアス方式(電圧可変型) パワー管 必要
固定バイアス方式(電圧固定型) パワー管 不可

ここまでくれば、バイアス調整については、正確な知識を会得されたと思いますので、本コラムで最初にご紹介した質問をもう一度確認します。

  • 「ギターアンプの真空管を交換したいが、バイアス調整が必要ですか。」
  • →バイアス方式が固定バイアス方式(電圧可変型)であれば、必要です。自己バイアス方式であれば不要です。なお、固定バイアス方式(電圧固定型)である場合には、バイアス調整ができませんので、当該バイアス電圧に対応するようにセレクトされたパワー管を使うか、ヴィンテージサウンド®の逆バイアス調整を利用してください。

  • 「特性が揃ったマッチドの真空管を購入すれば、バイアス調整がいらないと言われたのですか。」

  • →誤りです。固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、特性が揃ったマッチド管を使っただけでは、バイアス調整をしたことにはなりません。あくまで、マッチド管の用意は、バイアス調整前の準備にすぎません。従って、マッチド管を交換した後に、改めてバイアス調整が必要となります。


  • 「バイアス調整をしないとアンプが壊れますか。」

  • →壊れる場合もあります。固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、適正にバイアス調整しないと、過電流が流れて各部が焼損する場合もあります。なお、自己バイアス方式の場合には、バイアス調整が不要で、検査済みのパワー管を使用していれば、正常に動作します。また、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、当該バイアス電圧に適合しないパワー管を使うと、過電流が流れて各部が焼損する場合もあります。


  • 「同じ規格・ブランドの真空管に交換すれば、バイアス調整は不要ですか。」

  • →固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、誤りで、バイアス調整が必要となります。なお、自己バイアス方式の場合には、バイアス調整は不要です。また、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、バイアス調整ができないため「同じ規格・ブランド」という条件よりも、「同様の電気的特性」という条件が重要で、この条件に該当するパワー管に交換する必要があります。


  • 「バイアス調整は自分でできますか。」

  • →ある程度の技術スキルがあれば、バイアス調整自体は難しくないため、できると思います。但し、感電等の危険があるため、あくまで、自己責任にて行ってください。


  • 「自分のアンプはバイアス調整不要と言われたのですが。」

  • →バイアス方式が自己バイアス方式であれば、不要です。なお、固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、バイアス方式は必要です。また、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、バイアス調整ができないため、当該バイアス電圧に対応するパワー管を使用してください。


  • 「純正管を使えばバイアス調整が不要と楽器店に言われました。」

  • →半分正解で、半分不正解です。メサブギーのように、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、正解です。但し、純正管以外は使用できないかの誤解があるようですが、ヴィンテージサウンド®の逆バイアス調整をご利用いただければ、音色が異なる他ブランドのパワー管にも交換できます。なお、自己バイアス方式および固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、純正管である必要性は全くありませんので、自由にお好みのブランドのパワー管を使用することができます。

以上

2009.7.5                                         

Good music !