賢い新品ギターアンプのアップグレード術
新品でギターアンプを購入するという行為は、非常に楽しく、何度でも経験したいものです。愛用のギターを持って、楽器店に何度も足を運び、試し弾きを繰り返して、悩みに悩んでようやく決めた最高の一台です。
ピカピカのギターアンプが届いたら、まずは、ビールでも飲みながら1時間ほど眺めて、楽しみましょう。
次は、ギターをアンプに繋いで、音出しです。
サウンドチェックは、いかがでしたか?
ほとんどの方は、「あれっ?」という具合に、楽器店でのサウンドとはちょっと違う感じになると思います。これは、楽器店と自宅では、音響環境が異なるからです。こうなると、サウンドを改善したいと思うのが人情というものです。
そこで、ギターアンプのアップグレードをあれやこれやとはじめる訳ですが、アップグレードの方向性を間違えると、多額の出費が待っています。例えば、高価なシールドに交換したり、ギターのピックアップを交換したり、ギターを買い換えたり、強者になると、新たにギターアンプを買い換える等です。
ギターアンプを買い換えるのは、最終手段で、その前にやるべきことはたくさんあります。
費用対効果が最も高いのは、いわずもがな「真空管交換」です。ギターアンプ本体に比べれば、真空管はわずかな出費で済み、効果は絶大です。たった1本のプリ管を交換しただけで、ガラリと別のサウンドに変わります。
真空管を最適化することで、20万円のアンプを、60万円のアンプのサウンドにすることも夢ではありません。
前述したように、新品ギターアンプにデフォルトで実装されている真空管は、メーカーのコスト削減で、グレードの低いものがほとんどです。このことから、新品アンプを購入する場合は、真空管交換を前提に予算の組み立てをします。
つまり、新品アンプ本体価格+真空管を購入予算とします。真空管は、アンプ本体価格の20%も見ておけば十分です。場合によっては、アンプのグレードを一つ落として、浮かせた予算で真空管を交換するというも賢い方法で、同一予算で、それ以上のサウンドを得ることができます。
ここで忘れてはいけないのは、新品アンプが到着したら、キャビネットを開けて、真空管の構成を必ず確認しておきましょう。真空管の構成とは、規格(EL34,12AX7等)、ブランド(Sovtek等)および本数を指します。この真空管の構成は、サウンドの要となりますので、押さえてください。
真空管の構成がわかれば、サウンドの特徴を推測することができますので、そこから改善策を導きだすことができるのです。
さらに、真空管の交換履歴も記録しておきましょう。真空管の交換を繰り返すと、いつ交換したのがが不明となりがちで、新旧真空管が混在する状態となり、知らないうちに、旧真空管がサウンドのボトルネックとなっていることもあります。
真空管交換によりアンプのサウンドが改善したら、つまり、アンプの基礎サウンドを固めてから、つぎのステップであるシールド交換、ピックアップ交換等へ移行すれば良いのです。アンプの基礎サウンドが固まらないうちに、あれやこれやと盲目的に交換してしまうと、訳がわからない状態、つまり、原因と結果との因果関係が不明となり、気が付けば、楽器店の売り上げに多大な貢献をしている自分に気づくことにもなりかねません。
まずは、費用対効果が高い真空管交換からはじめてはいかがでしょうか。
つづく
2009.12.3
Good music !
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