2011年10月21日金曜日

真空管の寿命を著しく短くする効果的な方法(その1)




真空管の寿命を著しく短くする効果的な方法(その1)

こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド代表の佐々木です。

先週までは、顧問の税理士先生に提出する決算資料の作成と、SOUND BAR(真空管聴き比べ)の翻訳作業に忙殺されておりました。これらの作業が無事終了したため、久しぶりのブログ更新に至りました。

SOUND BAR(真空管聴き比べ)の翻訳は、EL34シリーズ(全673曲)について、英語、独語、仏語、伊語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語、韓国語、中国語(簡体字)および中国語(繁体字)という10カ国語です。Dr.Subsonic氏の論評を上記言語に翻訳する作業は、言葉のニュアンスを伝えるのが最も難しかったです。

先週、著作者であるDr.Subsonic氏に翻訳内容の検収を依頼しており、OKをいただければ、WEB公開作業を進めたいと思います。

それでは、本題に入るとしましょう。

私は、仕事柄、ネットに溢れる真空管に関する情報をチェックする機会が非常に多いのですが、まさに玉石混合状態です。毒にも薬にもならない情報であれば、問題ありませんが、中には、毒にしかならない情報もありますので、今回は、その一つを取り上げてみることにします。

「真空管を痛めないために、ギターアンプのメインスイッチを入れた後、30分ほどかけて真空管を十分に暖めてから、スタンバイスイッチを入れるようにしましょう。」

とか、

「新品の真空管を購入した場合には、メインスイッチだけをオンにした状態で、24時間放置してエージングを実施しましょう。こうすることで、真空管の寿命をのばすことができます。」

これら2つの情報をどこかで一度は目にしたことがあると思います。

残念ながら、いずれの情報も、「真空管の寿命を著しく短くする効果的な方法」にほかなりません。

いわゆる真空管の都市伝説の一つで、百害あって一利無しのガセネタです。

それでは、解説しましょう。

2つの情報のポイントは、「メインスイッチ」をオンにした状態、換言すれば「スタンバイスイッチ」をオフにした状態で、長時間放置するということです。真空管から見た場合、「メインスイッチ」をオンにした状態は、ヒータ電極に電圧を印加して、ヒータを点灯させることです。単にヒータが点灯した状態では、プレート電流は流れません。従って、この状態では、真空管は動作しません。

一方、「スタンバイスイッチ」をオンにした状態は、プレート電極にプレート電圧を印加して、プレート電流を流すことです。すなわち、「メインスイッチ」と「スタンバイスイッチ」が両方オンで、真空管にプレート電流が流れることで、増幅作用を発揮できる状態になるのです。

結論から言えば、「スタンバイスイッチ」だけをオンにした状態、すなわち、ヒータだけを点灯させた状態が継続されると、真空管の寿命が著しく短くなります。

何故、寿命が短くなるかという、理論的な考察は、次回です。

つづく

2010.2.15                            

Good music !

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