こんにちは、 真空管専門店 ヴィンテージサウンド 代表の佐々木です。
しばらく、ブログを更新しておりませんでしたが、この間に、つぎの経営課題について検討しておりました。
- Vintage Sound サイトの全面リニューアル(5月末公開予定)
- 新サービス
- 新サービスの公開に伴う特許出願
- 新サービスの公開に伴う商標出願
- 既存サービス(真空管販売、測定、逆バイアス調整、保証制度)のレベル向上
ここに来て、実現のメドが立ちましたので、皆様へのご報告の場とさせていただきました。
1.の全面リニューアルは、長年の懸案事項で、わかりやすさ、見やすさに重点を置き、デザインからコンテンツにいたるまで徹底的に改善いたします。弊社のサイトは、サーバーの構築、サイトシステムの構築、デザイン等のすべてを私が担当しておりますので、全面リニューアルといっても、さほどの労力はかかりません。
これを外注とすると、仕様を決定するまでに半年はかかってしまいます。一昔前までは、弊社でもサイトを外注で構築していた時期がありましたが、そのほとんどを意思疎通の時間に費やされ、結局、意図していたものができなかったという苦い経験を踏まえ、外注には一切出さないという体制としております。
気になるのは、2.新サービスだと思います。この新サービスの詳細は、5月末の公開までお楽しみとなりますが、私が真空管ビジネスに参入したときから、ずーっと心に思い描いていたもので、ようやく実現のときを迎かえられそうです。
この新サービスの開発にあたっては、私一人の力ではなく、社外のプロフェッショナルの力をお借りした上で、着々と準備を進めております。この新サービスは、真空管業界のデファクトスタンダードはもとより、世界中の真空管愛好者のグローバルスタンダードにまで成長させたいと考えております。是非ご期待ください。
3.新サービスの公開に伴う特許出願は、企業にとって、新製品や新サービスの公開前に必ず行っておくべき必須事項です。企業の大小は全く関係ありません。特許出願をせずに公開することは、丸腰で戦場に赴くと同じで、すぐに他社に模倣され、資本力が大きい企業にシェアをあっという間にもってゆかれます。
幸いにも、私の前職が特許業界でしたので、この辺の事情には精通しております。話は、ついでなので、特許業界について少々お話をしたいと思います。
弊社のような零細企業が特許出願したい場合、どうすればいいのでしょうか。自社で出願するか、特許事務所に出願を代理してもらうかの2つの方法があります。自社出願は、自社で特許明細書を作成し、これを特許庁へ出願します。この場合には、電子出願ですと、特許印紙代15000円しかかかりません。ただし、自社で特許明細書を作成するといっても、本屋で「特許入門」等の入門書を見ながら書いても、書ききれるものではありません。未経験者が書いても、形だけの出願はできても、ほぼ100%特許にはならないと思います。
特許になるかどうかは、発明そのものの質よりも、特許明細書の出来不出来で決まってしまいます。ですから、しょぼい発明であっても、熟練者が特許明細書を書くと、容易に特許にすることができます。一方、非常にすばらしい発明であるにもかかわらず、未熟者が特許明細書を書いてしまうと、特許にすることが困難となります。
そこで、登場するのが、特許事務所です。特許事務所は、企業(特許出願人)の代理として、特許庁に対して各種手続きを行う機関で、東京を中心に全国に点在しております。
特許事務所に依頼した場合、いったいいくらかかるのでしょうか。
ざっくりと、特許出願1件で、20万~40万くらいが相場です。特許明細書のページ数、請求項の数、図面数によって変動しますが、かなりの出費を覚悟しなければなりません。ここで、注意すべきは、20万~40万円の費用は、出願のみだということです。出願してから特許になるまでさらに費用がかかります。出願以降の流れはつぎの通りです。
- 出願審査請求(特許印紙代168600円~、特許事務所費用30000円くらい)
- 中間処理(特許事務所費用100000円くらい)
- 特許査定(特許事務所への成功報酬150000円くらい)
- 特許料(毎年特許印紙代数万円、特許事務所への管理料数万円)
特許出願費用も含めると、その高額に驚かれると思います。しかも、上記例は、順調に審査が進んだ場合であって、中間処理に手間がかかると、さらに数十万円の費用がかさみます。特許事務所費用は一例で、実際には、事務所毎に料金体系が異なります。
弊社の場合には、特許出願から特許にするまでの全手続きを私が行うことができますので、実質的な費用なほとんどかかりませんが、一般企業ですとかなりの出費を覚悟しなくてはなりません。
しかしながら、自社ビジネスを守るための保険として、特許出願だけはしておくべきです。出願審査請求をすると費用がかかりますので、企業の出願戦略としては、特許出願だけをしておき、出願審査請求はしないという手法を良く使います。出願審査請求をしないと、特許庁で出願の実体審査が行われませんので、当然特許にはなりません。
それでは、特許出願だけをするメリットはあるのでしょうか。
答えは、あります。
それは、ライバル会社に同様の特許をとらせないというメリットです。つまり、自社も特許にしないかわりに、ライバル会社も特許にできないため、その特許に関する技術を自社も自由に使えることになります。ここで、ライバル会社が特許をとってしまった場合、その技術を使うためには、ライバル会社に多額のライセンス料(特許の利用許諾に対する報酬)を支払わなければなりません。
特許出願だけしておけば、わずか数十万円の費用で済むのです。
ここで、特許事務所といっても、1人経営~数百人体制まであり、得意分野も様々です。
特許事務所の技術分野はつぎの3つです。
- 機械分野
- 電気・電子分野
- 化学分野
どの分野が得意かは、事務所毎に異なります。例えば、化学分野の特許事務所に、電子・電気関係の発明を持ち込んでも、費用の無駄遣いとなります。やはり、電子・電気関係の特許事務所へ依頼することが必要となります。
なお、大手の特許事務所では、全分野を網羅しているのが通常ですので、適材適所の人材がその出願を担当することになります。
ちなみに、特許の他に実用新案もありますが、現行の実用新案法では、実用新案は、権利として使いモノになりません。無審査登録のため、実用新案出願をすれば、100%登録されます。いわば、形骸化した制度ですので、特許事務所のプロプロフェッショナルの世界では、実用新案ではなく、特許としての出願を薦めます。従いまして、特許事務所に依頼したときに、実用新案を薦めるような事務所はやめたほうが賢明です。
話がだいぶそれましたが、4.新サービスの公開に伴う商標出願は、新サービスの名称を特許庁へ商標登録するための手続きで、これも私が行います。商標出願は、特許出願に比べて、手続きが非常に簡単ですので、どなたでもできます。出願費用は、特許委印紙16000円です。商標出願と特許出願は、新サービスの展開時には必須の手続きです。場合によっては、意匠出願も必要となります。
5.既存サービス(真空管販売、測定、逆バイアス調整、保証制度)のレベル向上は、さらに高品質で真空管をご提供するためのブラッシュアップで、サイトのリニューアルとともに実行します。きっと、ご満足いただけるものと思います。
5月末のサイトリニューアルにご期待ください。
以上
2009.4.25
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