マイクプリの音質向上のコツ
こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド® 代表の佐々木です。
弊社で扱っている真空管の主な用途は、つぎの5つです。
- ギターアンプ
- ベースアンプ
- オーディオアンプ
- 真空管ラジオ
- 無線機
- マイクプリ
この中で、ギターアンプ、ベースアンプおよびオーディオアンプという3大メジャーは、常に、問い合わせが一定数以上あります。
一方、真空管ラジオ、無線機は、需要が極端に少ないため、ほとんど問い合わせがありません。
最後のマイクプリは、実は、最近、問い合わせ数が増加傾向にあります。
マイクプリのアップグレード法をご覧いただいたお客様からの問い合わせが多く、だいだいつぎの2点について聞かれます。
「マイクプリを購入したが、音質改善のアドバイスが欲しい。」
「マイクプリ本体から、プリ管の外し方を教えて欲しい」
マイクプリは、録音系のため、再生系のオーディオアンプや、楽器系のギターアンプ等とは違う観点で真空管を選ぶ必要があります。
具体的には、マイクプリ用のプリ管を選ぶポイントはつぎの4点です。
- ノイズレベルが低いこと
- 歪み量が少ないこと
- 録音対象の周波数特性に適合すること
- 解像度が高いこと
1番目の「ノイズレベルが低いこと」および2番目の「歪み量が少ないこと」は、録音系として、最も基本的な要求スペックですので、説明を省略します。
3番目の「録音対象の周波数特性に適合すること」は、ほとんどのユーザが意識することなく、見過ごされている点で、録音の出来不出来を決定する最重要ポイントです。つまり、録音対象に合わせてプリ管を選ぶという発想が必要なのです。録音対象は、楽器、ヴォーカル、自然音等がありますが、楽器でも、ギター、ベース、オーケストラ、ヴォーカルでも、男性、女性という具合に多岐に亘ります。
これらの録音対象は、それぞれ、周波数特性が異なります。わかりやすい例ですと、ベースはシンバルに比して、相対的に低音成分が多いという周波数特性を有しております。
従って、ベースを録音対象とする場合には、低域成分の増幅が得意なプリ管をセレクトするのが正解です。一方、ベースを録音するのに、高域成分の増幅が得意なプリ管をセレクトしてしまった場合には、低域成分がプアーになり、ベース特有のズシンとした音を録ることはできません。
最後に、4番目の「解像度が高いこと」は、録音対象をどれだけ表現力豊かに録ることができるか、というファクターです。つまり、録音対象の感動をどれだけ記録できるかということです。プリ管の解像度が高いと、ヴォーカルの息遣い、ピアノのタッチ、ギターの微妙なピッキングをキッチリと録ることができるようになります。しかも、複数の録音対象を録る場合には、各録音対象の分離度も高くなります。
これに対して、プリ管の解像度が低いプリ管(例えば、中国球12AX7)の場合には、微妙なニュアンスが表現できないため、録音後のサウンドが平坦で荒っぽい印象となります。
以上説明した4つの観点でプリ管をセレクトすれば、見違えるようなマイクプリに大変身してくれるでしょう。マイクプリの場合には、プリ管も1本または2本という具合に本数が少ないため、ギターアンプ等に比して、交換のハードルが低く、バイアス調整も不要ですので、誰でも簡単に交換することができます。
ぜひ、お試しあれ。
2010.6.2
Good music !
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