プリ管12AX7の解体ショー(その3)
こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド 代表の佐々木です。
第1グリッドを拡大したものがFig.9です。
【Fig.9】第1グリッドを接写した様子
Fig.9において、第1グリッドは美しいフィルムをしていると思いませんか?第1グリッドは、第1カソードから第1プレートへ向けて移動する電子の量をコントロールする機能を備えておりますが、その構造を見れば、機能を良く理解できます。
つまり、第1グリッドは、平行配置された2本の金属棒と、これらの2本の金属棒に所定ピッチで螺旋状に巻回された細線から構成されております。筒状の金網のようになっているのです。この筒状の中心線に沿って第1カソードが配設されており、第1カソードから放出された電子のうち、金網(第1グリッド)を通り抜けたものだけが第1プレートに到達できます。
電気的に金網(第1グリッド)の網目を広げたり、狭めることにより、電子が通り抜ける量、すなわち、第1プレートに到達できる量(プレート電流)をコントロールしているのです。
なお、実際には、網目の大きさを変えることができません。それでは、どうやってやっているかと言えば、金網(第1グリッド)に加えるバイアス電圧を深くしたり、浅くしたりしているのです。
バイアス電圧を深くすると、金網(第1グリッド)には、マイナス方向に大きい電圧(例えば、-60V)が印加されるため、マイナスの極性を有する電子と反発しあい、なかなか金網をくぐり抜けることができません。
→プレート電流が少ない状態
これに対して、バイアス電圧を浅くすると、金網には、マイナス方向に小さい電圧(例えば、-20V)が印加されるため、-60Vに比べて、電子との反発が弱まり、金網をくぐり抜ける電子の量が多くなります。
→プレート電流が多い状態
こう説明すると、真空管の原理は非常に簡単なのです。
最後に、Fig.10、Fig.11に各パーツをバラしたものをご紹介して、一連の解体ショーを終了させていただきます。
【Fig.10】第1電極を構成するパーツ群
【Fig.11】第1電極、第2電極、マイカおよびゲッタ
2010.6.8
Good music !
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