2011年10月21日金曜日

ギターアンプをアップグレードするには(その6)




プリ管のゲインについて

サウンドデザインにおいては、プリ管のゲインが重要となります。ここで、プリ管のゲインは、増幅率のことで、同一規格・ブランドであっても、ゲインにはバラつきが必ず存在します。

例えば、同一規格・ブランドのプリ管として、12AX7 エレクトロハーモニクスが100本あるとします。これら100本のゲインを専用測定器で測定すると、ゲインの高いもの、低いもの、その間のものが存在し、ある幅で分布します。なお、ヴィンテージサウンドでは、自社でゲイン測定したプリ管を「低ゲイン」、「中ゲイン」および「高ゲイン」という3つのゲインに仕分けして販売しております。

ここで、注意すべきは、どのゲインを選ぶかによって、サウンドが変化します。具体的には、つぎの通りです。

  • 高ゲイン→歪みやすくなる
  • 低ゲイン→歪みにくくなる
  • 中ゲイン→これらの中間

つまり、プリ管のゲインにより、サウンドをコントロールすることができるのです。一般販売店では、ゲインが明示されておりませんので、かかるコントロールをすることは不可能で、運まかせのサウンドとなってしまいます。

パワー管のパワーについて

サウンドデザインにおいて、もう一つの重要なファクターは、パワー管のパワーです。ここで、パワー管のパワーは、パワー管を流れる電流の大きさで、同一規格・ブランドであっても、パワーにはバラつきが必ず存在します。この点は、プリ管と同様です。

例えば、同一規格・ブランドのパワー管として、EL34 ムラードが100本あるとします。これらの100本のパワー(電流)を専用測定器で測定すると、パワーの高いもの、低いもの、その間のものが存在し、ある幅で分布します。なお、ヴィンテージサウンドでは、自社でパワー測定したパワー管を「低パワー」、「中パワー」および「高パワー」という3つのパワーに仕分けして販売しております。

ここでも、注意すべきは、どのパワーを選ぶかによって、サウンドが変化します。具体的には、つぎの通りです。

  • 高パワー→音の輪郭がはっきりしたクリアサウンド
  • 低パワー→音の輪郭にグラデーションがかかったソフトサウンド
  • 中パワー→これらの中間

このように、パワー管のパワーによっても、サウンドをコントロールすることができるのです。一般販売店では、これらのことを意識した販売形態をとっておりませんので、効果的なコントロールは、難しいと思います。

サウンドデザイン1(基準サウンド)

サウンドデザインの目的は、上述プリ管のゲインとパワー管のパワーとの組み合わせで、サウンドをコントロールすることです。3種類のゲイン(低ゲイン、中ゲインおよび高ゲイン)と、3種類のパワー(低パワー、中パワーおよび高パワー)との組み合わせですから、都合9種類(3×3)のサウンドを作り出すことができます。

最初のサウンドデザイン1は、中ゲインと中パワーとの組み合わせで、9種類のちょうど中間に位置する基準サウンドです。この基準サウンドは、当たり外れが少ない万人向けのサウンドであるため、最初に真空管を導入する場合に好適です。

  • プリ管→中ゲイン
  • パワー管→中パワー

サウンドデザイン1

なお、真空管聴き比べ Sound Barでは、中ゲインのプリ管、中パワーのパワー管が採用されており、この基準サウンド(本サウンド)が再生されるようになっています。

従って、真空管聴き比べ Sound Barのサウンドが気に入った場合には、中ゲインのプリ管と中パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン2(歪みにくくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、パワー管は、中パワーのままで、プリ管を中ゲインから低ゲインに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも歪みにくくなり、クリーンがキレイに出るようになります。歪み過ぎを抑制したい場合に有効な手法です。

  • プリ管→低ゲインに変更
  • パワー管→中パワーのまま

サウンドデザイン2

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み過ぎと感じた場合には、低ゲインのプリ管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン3(歪みやすくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、パワー管は、中パワーのままで、プリ管を中ゲインから高ゲインに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも歪みやすく、より深いディストーションが得られるようになります。歪み不足を改善したい場合に有効です。

  • プリ管→高ゲインに変更
  • パワー管→中パワーのまま

サウンドデザイン3

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み不足を感じた場合には、高ゲインのプリ管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン4(ソフトになる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管は中ゲインのままで、パワー管を中パワーから低パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭にグラデーションがかかりソフトなサウンドになります。聴き疲れ改善や、他楽器よりも出過ぎるギターサウンドを抑制したい場合に有効です。

  • プリ管→中ゲインのまま
  • パワー管→低パワーに変更

サウンドデザイン4

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、聴き疲れを感じた場合には、低パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン5(クリアになる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管は中ゲインのままで、パワー管を中パワーから高パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭がハッキリし、クリアなサウンドになります。存在感を高めたり、他楽器よりも前に出したい場合に有効です。

  • プリ管→中ゲインのまま
  • パワー管→高パワーに変更

サウンドデザイン5

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、クリア不足を感じた場合には、高パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン6(クリアで歪みやすくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから高ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから高パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭がハッキリし、クリアでかつ歪みやすいサウンドになります。存在感を高めたり、他楽器よりも前に出したい場合であって、歪み不足も改善したい場合に有効です。

  • プリ管→高ゲインに変更
  • パワー管→高パワーに変更

サウンドデザイン6

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み不足およびクリア不足を感じた場合には、高ゲインのプリ管と高パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン7(クリアで歪みにくくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから低ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから高パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭がハッキリし、クリアでかつ歪みにくいサウンドになります。存在感を高めたり、他楽器よりも前に出したい場合であって、歪み過ぎも抑制したい場合に有効です。

  • プリ管→低ゲインに変更
  • パワー管→高パワーに変更

サウンドデザイン7

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み過ぎおよびクリア不足を感じた場合には、低ゲインのプリ管と高パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン8(ソフトで歪みにくくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから低ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから低パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭にグラデーションがかかり、ソフトでかつ歪みにくいサウンドになります。聴き疲れ改善や、他楽器よりも出過ぎるギターサウンドを抑制したい場合であって、歪み過ぎも抑制したい場合に有効です。

  • プリ管→低ゲインに変更
  • パワー管→低パワーに変更

サウンドデザイン8

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み過ぎおよび聴き疲れを感じた場合には、低ゲインのプリ管と低パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン9(ソフトで歪みやすくなる!)

最後に、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから高ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから低パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭にグラデーションがかかり、ソフトでかつ歪みやすいサウンドになります。聴き疲れ改善や、他楽器よりも出過ぎるギターサウンドを抑制したい場合であって、歪み不足も改善したい場合に有効です。

  • プリ管→高ゲインに変更
  • パワー管→低パワーに変更

サウンドデザイン9

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み不足および聴き疲れを感じた場合には、高ゲインのプリ管と低パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

つづく

2009.11.21                                

Good music !

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