ギターアンプのアップグレード方法論
ギターアンプのアップグレードを検討するには、アップグレード対象のパーツ、パーツ交換の容易性、費用対効果を考えながら、優先順位をつける必要があります。アップグレード対象のパーツは、ギターアンプを構成する真空管、コンデンサ、固定抵抗、可変抵抗(ポット)、ジャック、配線材、ハンダ等を指し、ギター信号が通過するものです。これらのパーツのうちどれを交換しても、サウンドを変化させることができますが、変化量にはかなりの差があります。
結論から言うと、能動素子としての真空管が変化量が最も大きく、それ以外の受動素子としてのコンデンサ、固定抵抗、可変抵抗(ポット)等は、真空管よりも変化量が少なくなります。これは、真空管に増幅作用があるからです。
つぎにパーツ交換の容易性については、はじめからソケットを介して着脱自在に設計された真空管に軍配が上がります。その他の受動素子(コンデンサ等)は、ハンダ付けされているため、気軽に交換という訳にはいかずハードルが高くなります。また、ハンダ作業には、電子回路の知識が不可欠であるとともに、経験とコツがいります。
かかる状況を総合的に判断すれば、費用対効果があるのは、真空管であるということができます。従って、アップグレードの優先順位としては、はじめに、真空管交換でお気に入りのサウンドに改善した後、つぎのステップとして、受動素子を交換してみるという流れになります。
アップグレードの第一ステップは、真空管の構成を正確に把握すること
真空管交換によるアップグレードを決意したら、最初の仕事は、ギターアンプのキャビネットを開けて、実装されている真空管の構成を正確に把握してください。具体的には、真空管を1本1本外して、管壁にプリントされている規格(12AX7、EL34等)、ブランド(Sovtek等)、本数をつぎのように紙に書き出してください。なお、真空管を戻す際、実装位置を間違わないように気をつけてください。
- プリ管 12AX7WA Sovtek 3本
- プリ管 12AX7B China 2本
- パワー管 EL34B TAD 4本
- 整流管 5AR4 Sovtek 1本
くれぐれも、楽しようとして、取り扱い説明書に記載されている真空管リストで真空管の構成を把握することは禁物です。特に、中古アンプの場合には、前オーナーが別の真空管に交換していると、実体と乖離してしまうからです。
アップグレードの第二ステップは、現状サウンドと真空管の構成との相関関係を理解すること
物事には必ず原因と結果がありますが、ギターアンプの場合には、真空管の構成が原因で、その結果がスピーカーから出力されるギターサウンドとなります。つまり、現状サウンドが悪い原因は、真空管の構成にあるのです。逆に言えば、真空管の構成を変更することで、サウンドを改善することができるのです。このように、現状サウンドと真空管の構成とは、深い相関関係がありますので、これを理解してください。
例えば、現状サウンドが歪みにくいと感じた場合、「ゲインが低いプリ管が実装されている」、または「プリ管の経年劣化によるゲイン低下」が原因となりますので、高ゲイン指定のプリ管に交換することで、歪みやすいサウンドに改善することができます。
また、現状サウンドの輪郭がぼやけていると感じた場合、「パワー管のパワーが低い」ことが原因となりますので、高パワー指定のパワー管に交換するか、バイアス調整でサウンドの輪郭がはっきりしたクリアなサウンドに改善することができます。
さらに、現状サウンドの低域が出ないと感じた場合、プリ管とパワー管のキャラクタおよび組み合わせが悪いことが原因となりますので、低域が出る組み合わせに変更することで、低音が締まったサウンドに改善することができます。
つづく
2009.11.19
Good music !
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