真空管と知的財産権
こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド® 代表の佐々木です。
前回ブログ(真空管の偽物)は、かなりの問い合わせがあり、思っていた以上に被害が多いなという印象です。そもそも偽物を販売等する行為は、知的財産権を侵害する行為です。ここで、知的財産権とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等を指します。
世界に目を向けてみると、主要各国のほとんどが知的財産権に関する法律を有しており、世界各国が批准する条約も複数存在しており、日本も条約を批准し、グローバルに知的財産権を保護するシステムが確立しております。
今回より、偽物つながりで、真空管という切り口で知的財産権について思っていることを綴ってゆきたいと思います。
日本国内で偽物RCA、偽物Siemensを販売したらどうなるか?
当然、罪に問われ、条件によっては、刑事罰が課せられます。
この手の問題は、海外の偽物ブランドバックの摘発に似ています。すなわち、商標権の侵害(商標法第37条)で、同法には、「指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用等は商標権を侵害するものとみなす。」と規定されております。
要は、他人様の商標(RCA, Siemens)を無断で使ったらダメよという規定です。商標法は、商品の出所の混同を防止し、その商標(RCA、Siemens)が持っている信用、ブランドイメージのフリーライド(タダ乗り)を禁止するため法律です。
つまり、ユーザは、「RCAは高品質で音が良い」、「RCAは真空管ブランドで最も信頼性が高い」、「とにかく、真空管ならRCA」という信用・ブランドイメージがあるからこそ、RCAの真空管を購入する訳で、Siemensに関しても同様です。
ここで、ユーゴスラビア製の12AX7にRCAの商標を付して販売された場合であっても、同ユーザは、この偽物RCAを本物のRCAと信じて購入してしまい、販売者は、まんまと、RCAブランドにタダ乗りして、利益を出すことができます。
こんなことはもちろん許されません。
通常、「RCA」や「Siemens」の商標権を有する商標権者は、商標権侵害の事実を知ると、販売店等に対して、販売差し止めを要求する警告状を送付します。ほとんどは、この段階で、おとなしく販売を中止するのですが、それでもやめない悪質なケースでは、刑事告訴という段階に入り、逮捕、刑事罰という流れになります。なお、商標権侵害は、親告罪なので、商標権者からの告訴が無いかぎり、当局が動くことはありません。
しかしながら、ヴィンテージ管の偽物の場合には、商標権侵害というケースはほぼ0%でしょう。つまり、商標権者がいないということです。商標権は、その商標が実際に使用されていることが要件の一つとされており、商標登録だけして使用しないというのは許されず、商標権不使用を理由に第三者からの申し出で商標権を取り消される場合もあります。
1980年代から今現在に至るまで、日本国内でRCA等の現行新品管は販売されておりませんので、理論上は、真空管を指定商品とするRCA等の商標は存在しないことになりますので、商標権者もいないことになります。
従って、現在、日本国内で偽物RCA等を販売したとしても上述した商標権侵害でお縄にすることはまず不可能です。
現実的には、詐欺罪(刑法246条)か、不法行為に基づく損害賠償請求(民法701条)でしょうか。
偽物とわかって販売した場合には、詐欺罪に問うことができるでしょうし、偽物と知らないで販売した場合であっても、被害者が偽物であることを立証できれば過失による損害賠償請求の対象になります。真空管1本でそこまでやるかという別の議論もありますが、理論上は可能であると思います。
次回は、真空管聴き比べSOUND BARに関連する著作権についてお話をしたいと思います。
2009.11.6
Good music !
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